米国の州税 – 米国進出企業のための実務

世界中の企業が直接または米国子会社を通して米国市場に製品やサービスを販売しています。これらの企業は、米国税務を含め全体的なビジネス環境をより理解しようと努力をしていますが、多くの米国進出企業にとって連邦税だけではなく州税の理解を深めることも重要です。

各州は、その管轄州内で課税対象となる事業者に対して、他州とは異なる税法を適用することができます。

米国で事業を行う際にお役に立てれるように、州税と連邦税の関連性や具体的な相違を概説します。

重要事項

  • 税金は州レベルと連邦レベルの両方で課税されます。
  • 各州には、法人税に関する独自の税法があり、その内容は大きく異なることがあります。
  • 法人税が低い州が事業に最適な場所であるということでは必ずしもなく、法人税以外にも課される税金がありますので注意が必要です。

米国の州税とは

米国の各州は、外国企業と国内企業の両方に適用される法人税や売上税等、独自の税法を施行する権限を持っています。このように、企業は個別に登記を行い、納税・申告義務がある各州で申告を行う必要があります。この納税・申告義務は「ネクサス」として知られており、様々な要因によって決定されます。州が連邦税制をベースにしていることは珍しくありませんが、多くの州が独自の税制を実施しています。

州税VS. 連邦税(法人税)

米国進出を検討している外国企業にとって、最初に重要な税務上の考慮事項は、一般的に企業の所得が連邦レベルでどのように課税されるかということです。これは連邦政府によって課せられているため、50州内どこで事業を行っていようが全ての企業に適用されます。

一方で各州では、ネクサスのある企業は独自の計算式を用いて課税所得が計算されます。

覚えておくべき重要なことは、ある州の法人所得税が有利(あるいは0%)だからといって、必ずしもその州が事業を行うのに最適な場所であるとは限らないということです。外国企業は、連邦と州の両方のレベルで所得がどのように課税されるか、また売上税や固定資産税等その他の税金についても考慮に入れる必要があります。

米国進出企業が直面する様々な税務についてより幅広く理解することから始めたいとお考えの方は、最近の投稿をご覧ください: 米国法人税: 米国市場進出における注意点.

誰が米国の州税を払わなければならないのか?

Haulage truck moving good between states creating business nexus for US state taxes

一般的に、特定の州で事業が課税対象となるには、その州で 「ネクサス」が発生する必要があります。このネクサスとは、州内に物理的な存在があるかどうか、事業活動が行われているかどうか、または売上規模等複数の要因によって判断されます。

事業が国内であれ海外であれ、ネクサスがあるとみなされた場合、州はその事業に対して独自の米国州税を課す権限があります。

複数の州での課税

企業は複数の州にネクサスが認められると、これら複数の州の税法が適用されることになります。このような場合、会社の全体的な課税所得は、州内での固定資産、人件費、売上等の要素に基づいて、各州へ按分されることになります。近年では売上要素のみで按分する州が増えてきています。各州で按分方法が異なる場合が多いため、どの州でも課税されない所得が発生することもあれば、または複数の州で二重課税となる場合も考えられます。

米国の州税違反に対する罰則金

連邦および州レベルでの米国税法の不遵守は、外資系企業とその従業員の両方に様々な結果をもたらす可能性があります。一般的には、企業は更なる税金や未納分の支払い、その未納分に対する罰金やペナルティを課せられることが予想されます。

 

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その他州税の問題点

多くの州では所得をベースにした州法人税を課していますが、所得ベースではなく、あるいはそれに加えて、フランチャイズ税や総収入税を課している州も少なくありません。外国企業は、特定の州で法人税が課されていなくても、米国の州税の一部として、フランチャイズ税、売上税、総収入税等が課される場合があることを知っておく必要があります。

州レベルでの法人税の課税がない州もありますが、ビジネスを行う際に、その州が必ずしも最も有利な税制環境にあるということではありません。例えば、固定資産税、売上税、個人所得税の税率は、法人税が低いところでは高くなる可能性があります。

事業者は、外国企業の所得がどのように計算され、どのように課税されるかを正確に把握するために州ごとに慎重な分析を行わなければならないのです。

総収入税 (Gross Receipt Tax)

総収入税とは、事業の総収入に対して課される州税であり、法人所得税や売上税の代わりに課されることが多いです。一般的に、総収入税は、特定の州内で得た総収入に基づいています。

総収入税は一見すると売上税に似ていますが、消費者ではなく販売者に課税されるように設計されています。

フランチャイズ税

多くの州では、所得ベースの法人税の代わりに、またはそれに加えて、フランチャイズ税を課しています。一般的に、フランチャイズ税は、特定の企業や特定の州でビジネスを行いたい事業体によって支払われる賦課金であり、会社の純資産をベースに課税されます。

売上税

Sale of fruits and supermarkets goods which is subject to sales and US state taxes

売上税とは、商品やサービスの販売時に課される消費税の一種であり、販売時点で課税されます。世界の多くの国では、代替案として付加価値税(VAT)制度が採用されていますが、米国では、各州が独自のルールに基づいて課す従来の売上税制度が残っています。

ビジネスが特定の政府に売上税を支払わなければならないかどうかは、その州がどのようにネクサスを定義しているかによって異なります。前述したように、ネクサスは米国の各州の税法によって物理的な場所(倉庫やオフィス)、従業員、売上、または他の要因等で決定されます。

租税条約と米国の州税

米国へ進出して来る外国企業は、連邦政府からの課税を軽減するために、国際租税条約を適用することで課税対象を制限しようとすることがあります。しかし多くの企業が共通で誤解していることは、米国と外国との間の連邦租税条約が州税にも適用されるということです。

連邦レベルで適用される租税条約に関係なく、特定の州に課税対象となる納税義務を持っていると大きな財務上のリスクにさらされることもあります。連邦税が租税条約の保護下にある外国企業が、州税も二国間の国際租税条約の保護下にあると誤って思い込んでいる場合、州税不遵守のリスクを負う可能性があります。

一部の州では、外国企業に対して国際租税条約の特定の保護を認める規定になっています。

現実には、多くの企業が米国の連邦税と州税の違いを完全に理解することは難しいと感じています。米国でビジネスを行う際には、専門的な税務アドバイスとガイダンスを受けることが望まれます。 

 

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州の補助金

米国の多くの州では、その管轄区域でビジネスを行うことを選択した企業のための優遇策を提供しています。例えば、特定の州では、農業や工業、エネルギー等の特定の産業に対して税額控除を提供することがあります。

税制優遇措置、現金、税金の還付などの企業補助金を検討する際には、特定の州が長期的なビジネス成長に適しているか、これらがどのように影響するかを常に確認することを忘れないようにしましょう。

米国州税を米国進出戦略に組み込む

A map of the US and state lines representing US state tax obligations

米国進出時において、連邦税や州税に対して細心の注意を払う必要があります。日本を含め多くの国にとって、連邦制は馴染みがなく、複数の権限や階層を介して課税される方法は、複雑すぎると思われるかもしれません。このような知識のギャップがあると、最初に認識していたよりも多くの納税義務を負うことになることがあります。

課税対象となる納税義務を理解するのも、事業を行う際に適用される様々な規定や関係を理解しておくことも各企業や組織の責任です。

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